安藤旭さん(67)だ。
「今日はいい天気になる」と安藤さんが空を見上げた。
祝島と小祝島の間に船を止め、撒き餌をまく。推進10メートル。潮の流れはけっこう早い。
エサは小エビの生き餌。まさにエビでタイを釣る、です。
昨夜、採ってきた小エビが船の生け簀にびっしり入っている。
ピンク色の美しい小エビを針につけ糸をたらす。一本の糸に5本の針がついてい
る。海底に着いたおもりをひとひろほど巻き上げた瞬間グッと引いた。安藤さん
と私の目あった。無言で糸をたぐり寄せる。30センチほどの型の良いピンク色の
美しい鯛があがってきた。
撮影に夢中になっている私に「あんたもやんさい」と釣り糸を準備してくれた。
カモメが船の近くで撒き餌のおこぼれを狙っていた。じっと待っているとグイと
小さい引きがあった。たぐり寄せるたびにググとひく。指先に伝わる感触が心地
よい。小一時間に3匹ほど釣った。2回目の鯛釣りにはまってしまった。
「きれいな海があればずっと生きていける。お金(補償金)は一時でなくなって
しまう。海が汚れればさかなが捕れなくなるし、売れんようになる。わしゃ、2
人の子どもをこの海で育てもらったんじゃ。絶対に原発反対じゃ」と安藤さんは
つぶやいた。
予定地の田浦湾には台船が係留されて、工事の再開の機会を狙っている。



